職場内ハラスメントの申告を受けた会社には、過料の対象となる場面が4つあります
ハラスメント申告後、使用者が調査・被害者への措置・行為者への措置・秘密保持を怠ると、500万ウォン以下の過料の対象になります。韓国の人事担当者が担う手続きです。
ひと目でわかるポイント
- 調査
- 申告の受付または認知時に、遅滞なく客観的に
- 手続き違反の過料
- 500万ウォン以下(第116条第2項第2号)
- 使用者自身がハラスメントをした場合
- 1,000万ウォン以下の過料(第116条第1項)
- 被害者への措置
- 被害労働者の要請に応じて(第76条の3第4項)
- 行為者への措置
- 要請がなくても遅滞なく(第76条の3第5項)
- 不利益な取扱い(第76条の3第6項)
- 過料ではなく罰則の領域
このガイドは、韓国で事業を行う会社(外国人投資企業を含む)の使用者、人事担当者、管理職と、ハラスメントを申告する従業員向けです。韓国の職場内ハラスメントの規定には、使用者自身が加害者である場合を除き、加害者を罰する規定がありません。過料は、申告を受けた会社が手続きを守らなかったときに会社に科されます。その場面は、調査、被害者の要請に応じた措置、行為者への措置、秘密保持の4つです。
過料は会社の手続きにかかっています
勤労基準法(근로기준법)第76条の2は職場内ハラスメント(직장 내 괴롭힘)を禁止していますが、禁止を宣言しているだけです。制裁は、会社が手続きを守ったかどうかにかかっています。第116条第2項第2号は、第76条の3の第2項・第4項・第5項・第7項の違反を500万ウォン以下の過料(과태료)の対象としています。この4つの項が、会社が必ずしなければならない4つのことです。
例外が1つあります。第116条第1項により、使用者自身が第76条の2に違反してハラスメントをした場合、過料は1,000万ウォン以下です。ここでの使用者には、民法(민법)第767条による使用者の親族のうち大統領令で定める者で、その事業場の労働者である者も含まれます。代表者自身が行為者である事案は、この別の規定で扱われるということです。
過料の対象となる4つの場面
| 条項 | 会社がすべきこと | 違反した場合 |
|---|---|---|
| 第76条の3第2項 | 申告の受付または認知時に、遅滞なく客観的に調査する | 500万ウォン以下の過料 |
| 第76条の3第4項 | 確認されたとき、被害労働者の要請に応じて勤務場所の変更・配置転換・有給休暇などの措置をとる | 500万ウォン以下の過料 |
| 第76条の3第5項 | 確認されたとき、遅滞なく行為者に懲戒・勤務場所の変更などの措置をとる | 500万ウォン以下の過料 |
| 第76条の3第7項 | 調査に関わった者は秘密を漏らしてはならない | 500万ウォン以下の過料 |
第3項と第6項は過料の対象には入っていませんが、それぞれに重みがあります。第3項は、調査期間中、被害労働者等(피해근로자등)を保護するために必要な場合は、勤務場所の変更、有給休暇の命令など適切な措置をとるよう求めています。同時に、被害労働者等の意思に反する措置をしてはならないと明記しています。保護を名目に被害者を別の部署に移す措置は、この規定に触れます。第6項は、申告者と被害労働者等に対する解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。こちらは過料ではなく罰則(벌칙)の領域です。
手続きの順序
- 誰でも、ハラスメントの発生を知ったときは使用者に申告できます(第1項)。
- 申告がなくても、会社が認知した場合は調査義務が生じます(第2項)。
- 調査は、遅滞なく、当事者等を対象に、客観的に行います(第2項)。
- 調査期間中、被害労働者等の保護措置を検討します(第3項)。
- 保護措置は、被害労働者等の意思に反してはなりません(第3項後段)。
- 調査の結果、発生が確認されたら、被害労働者の要請に応じて措置をとります(第4項)。
- 行為者への措置は、要請がなくても遅滞なくとります(第5項)。
- 懲戒などの措置の前に、被害労働者の意見を聴きます(第5項後段)。
- 申告者・被害労働者等に不利益な取扱いをしません(第6項)。
- 調査した者、報告を受けた者、調査過程に参加した者は秘密を漏らしません(第7項)。
- 使用者への報告や、関係機関の要請に応じた情報提供は除かれます(第7項ただし書)。
第4項と第5項の違いを見落とす会社が多くあります。被害者側の措置には要請が必要です。行為者側の措置は、要請の有無に関係なくとらなければなりません。被害者が何も言わないから穏便に済ませようという判断は、第5項違反につながります。
懲戒手続き自体の有効性は別の論点です。措置が解雇に至る場合は、勧告辞職の離職確認書と喪失コード23・26を参考にしてください。
調査の担い手と調査範囲
法律は客観的に調査するよう求めるだけで、調査の担い手を指定していません。そのため人事担当者が単独で進める例が多くあります。しかし、行為者がその担当者の上司であったり、代表者に近い立場であったりすると、客観性の要件が崩れます。
基本は、複数の委員で調査委員会(조사위원회)を構成し、行為者・被害者と直接の報告関係にある人を外すことです。社内で中立的な構成ができない小規模な事業場では、外部の労務法人(노무법인)や弁護士に調査を委託する方法があります。その場合は、委託を受けた人も第7項の秘密保持義務の対象になることを契約書に明記しておくほうが安全です。
調査範囲もあらかじめ決めます。申告書に書かれた事実だけを見るのか、調査中に明らかになった別の行為まで広げるのかを、着手時に決めておきます。そうしないと調査が長引き、「遅滞なく」という要件から遠ざかります。
就業規則の変更届出もあわせてご覧ください。
チェックリスト:避けるべき失敗と残すべき記録
調査の実務でよく起きる失敗です。避けてください。
- 申告書を受け付けてから数日検討した後で、ようやく調査を始める
- 調査を人事チーム長1人が単独で進める
- 行為者と被害者を同じ場に呼んで対質させる
- 調査途中の内容が部署内に広まる
- 調査結果をメールで多数の受信者に共有する
- 被害者の意思を聞かずに被害者を別のチームへ移す
- ハラスメントが確認されたのに口頭注意で終わらせる
- 懲戒委員会を開く前に被害者の意見を聴かない
- 調査報告書を残さない
- 申告後、被害者の評価・配置に不利益が生じる
記録がなければ、調査をしたこと自体を証明できません。最低限、次の日付を時系列で残してください。
- 申告の受付日
- 調査の着手日
- 面談の日付と出席者
- 調査の終了日
- 措置の決定日と通知日
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 직장 내 괴롭힘 | jikjang nae goerophim | 職場内ハラスメント。勤労基準法第76条の2が禁止しています |
| 과태료 | gwataeryo | 過料。行政機関が科す金銭上の制裁で、刑罰ではありません |
| 벌칙 | beolchik | 罰則。法律の刑事罰の規定 |
| 피해근로자등 | pihae geulloja deung | 被害労働者等。被害を受けた労働者と、被害を受けたと主張する労働者 |
| 행위자 | haengwija | 行為者。ハラスメントをした人 |
| 배치전환 | baechi jeonhwan | 配置転換。別の職務やチームへ移すこと |
| 유급휴가 | yugeup hyuga | 有給休暇 |
| 징계 | jinggye | 懲戒。会社が従業員に科す制裁 |
| 조사위원회 | josa wiwonhoe | 調査委員会。会社が事実確認のために設ける組織 |
| 노무법인 | nomu beobin | 労務法人。公認労務士の法人で、調査を委託できます |
根拠
- 勤労基準法第76条の2・第76条の3(근로기준법 제76조의2·제76조의3)
- 勤労基準法第116条第1項、第2項第2号(근로기준법 제116조 제1항, 제2항 제2호)
- 民法第767条(민법 제767조)
このガイドは2026年10月19日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

