韓国の賃金は2026年上半期に3.1%上昇、大企業の成果給がけん引
韓国で賃金を決める事業主・人事担当者と、年俸交渉を控えた社員向けに、最新の公式統計と昇給の基準をまとめました。
ひと目でわかるポイント
- 2026年上半期の平均上昇率
- 常用労働者3.1%(月4,318,000ウォン)
- 300人以上の事業体
- 4.8%上昇、月平均6,497,000ウォン
- 300人未満の事業体
- 2.1%上昇、月平均3,818,000ウォン
- 主な要因
- 特別給与:大企業14.7%、300人未満0.6%の上昇
- 2027年の法定下限
- 2027年1月1日から最低賃金は時給10,700ウォン
このガイドは、韓国で賃金を決める外国人の創業者・管理者・人事担当者と、年俸交渉を準備する社員に向けたものです。2026年時点の公式統計では、平均賃金は年3%前後上がっており、大企業は主に成果給によってはるかに大きく上がっています。公正な昇給方針には、適切な市場との比較と基準の説明が必要です。
最新の公式統計
使用者団体の韓国経営者総協会(한국경영자총협회)は、雇用労働部(고용노동부)の事業体労働力調査(사업체노동력조사)の元データを分析して公表しています。2026年9月の報告書は常用労働者(상용근로자)を対象とします。常用労働者とは、雇用契約期間の定めがないか、1年以上の契約で働く人です。下の月平均賃金総額は超過給与を除いた金額です。
| 上半期(1〜6月) | 月平均賃金総額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 2024年 | 4,046,000ウォン | 2.2% |
| 2025年 | 4,188,000ウォン | 3.5% |
| 2026年 | 4,318,000ウォン | 3.1% |
2026年上半期の定額給与(정액급여:基本給と定期手当)は2.2%上がって3,717,000ウォンでした。特別給与(특별급여:賞与と成果給)は9.3%上がって月601,000ウォンとなり、2011年以降の上半期で最も高い水準です。
雇用労働部の月次調査も同じ傾向です。2026年7月の労働者1人当たり月平均賃金総額は4,316,000ウォンで、前年同月比2.5%増でした。常用労働者は4,633,000ウォンで3.4%増でした。
成果給で先行する大企業
| 2026年上半期 | 月平均賃金総額 | 上昇率 | 特別給与の上昇率 |
|---|---|---|---|
| 300人以上の事業体 | 6,497,000ウォン | 4.8% | 14.7% |
| 300人未満の事業体 | 3,818,000ウォン | 2.1% | 0.6% |
両グループの月額の差は2,460,000ウォンから2,679,000ウォンに広がりました。1つの業種の影響が大きく、半導体製造業を含む電子・通信業(전자·통신업)では、特別給与が66.0%増え、月平均賃金総額が23.1%上がって9,434,000ウォンになりました。全体の賃金上昇分の約3分の1(32.4%)がこの業種から生じています。
中小・中堅企業なら、半導体の成果給が押し上げた全体平均を基準にすべきではありません。規模と業種が近い会社と比べ、基本給と成果給を分けて比べてください。
人によって大きく異なる昇給率
平均の陰には大きなばらつきがあります。企業口コミサイトのジョブプラネット(잡플래닛)が2024年2月に会社員303人に行ったオンライン調査では、昇給率の中央値は5%でした。回答者の19.1%は10%以上上がり、最も高い昇給率は42%で、14.9%は据え置きでした。会社の昇給方法については、50.8%が社員ごとに異なる率を適用すると答えました。11.2%は全社員同じ率または同じ額、7.6%は全社員据え置き、30.4%はまだ交渉前と答えています。標本が小さく代表性はありませんが、個人ごとの結果がどれほど広がるかを示しています。
事業報告書(사업보고서)の社員の平均給与も誤解を招くことがあります。ストックオプションの行使益が含まれる場合があるためです。カカオの2021年の1人当たり平均給与は、ストックオプション行使益を含めると172,000,000ウォン、除くと89,000,000ウォンでした(マネートゥデイのファクトチェック、2022年3月)。ネイバーの2021年の平均給与は26.0%増えました(韓国経済新聞による事業報告書の分析)。これらは平均値であり、会社が決めた昇給率ではありません。
お金だけでは採用が決まらない理由
高い提示額が必ず人材を連れてくるわけではありません。ほかの3つの要素が決め手になることがよくあります。
- ワークライフバランス:年俸が高くても、残業が日常的だったり業務負荷が重すぎたりする会社は避けられます。
- 企業文化とビジョン:人は成長でき、意味のある仕事ができる会社を探します。長期的な方向が不透明だったり組織文化が硬直していたりすると、高い年俸も魅力が下がります。
- キャリア開発:教育、海外勤務、新しい技術を学ぶ機会が、提示を比べるときに大きな比重を占めます。
昇給方針の作り方
- 市場を知る。同じ業種・似た職務の賃金と昇給率を継続的に確認し、重要な職務はより詳しく見ます。
- 差をつけ、公開する。全社員一律の昇給は効果が上がりにくいものです。成果と市場価値に応じて昇給に差をつけ、基準と手続きを透明に運用します。
- 現金以外の報酬を使う。フレックス勤務、在宅勤務、サバティカル休暇、自己啓発支援金、健康診断の拡大が報酬パッケージの価値を高めます。
- 社内の人材を育てる。外部からの採用は高くつきます。教育プログラムとインセンティブで既存社員のリスキリング・アップスキリングを進める方が効率的な場合があります。
- 持続可能に運用する。賃金を単なるコストではなく人への投資ととらえ、明確な成果評価制度と公正な手続きで裏付けます。
法定の下限も忘れないでください。最低賃金は2026年が時給10,320ウォン、2027年1月1日からは10,700ウォンです。2027年の最低賃金10,700ウォン、12月31日までに労働者への周知が必要を参照してください。
チェックリスト
- 全国平均ではなく、規模・業種が近い会社と比べます。
- 採用の提示書と昇給通知に、基本給と成果給を分けて書きます。
- 昇給の基準を文書にし、社員に説明します。
- 賃金と合わせて現金以外の福利厚生を点検します。
- 既存社員の教育予算を立てます。
- 低賃金の職務が2027年の最低賃金以上か確認します。
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 연봉 | yeonbong | 年俸。1年単位で決める賃金です。 |
| 연봉협상 | yeonbong hyeopsang | 年俸交渉。会社と社員が年俸を決める協議です。 |
| 인상률 | insangnyul | 引き上げ率。賃金などが上がった割合です。 |
| 상용근로자 | sangyong geulloja | 常用労働者。契約期間の定めがないか、1年以上の契約の人です。 |
| 정액급여 | jeongaek geubyeo | 定額給与。基本給と定期手当です。 |
| 특별급여 | teukbyeol geubyeo | 特別給与。賞与や成果給です。 |
| 성과급 | seonggwageup | 成果給。成果に応じて支払う給与です。 |
| 복리후생 | bongni husaeng | 福利厚生。健康診断や支援金など賃金以外の待遇です。 |
| 사업체노동력조사 | saeopche nodongnyeok josa | 事業体労働力調査。雇用労働部の毎月の雇用・賃金統計です。 |
| 사업보고서 | saeop bogoseo | 事業報告書。上場企業が出す年次報告書で、社員の平均給与が載ります。 |
根拠
- 韓国経営者総協会「2026年上半期 規模・業種別賃上げ現況分析」(한국경영자총협회 「2026년 상반기 규모 및 업종별 임금인상 현황 분석」)、ヘラルド経済の報道 https://biz.heraldcorp.com/article/10879919
- 韓国経営者総協会「2025年上半期 規模・業種別賃上げ現況分析」(한국경영자총협회 「2025년 상반기 규모 및 업종별 임금인상 현황 분석」) https://www.hankyung.com/article/202509217147P
- 雇用労働部 事業体労働力調査、2026年7月分(고용노동부 사업체노동력조사, e-나라지표) https://www.index.go.kr/unify/idx-info.do?idxCd=1485
- ジョブプラネット・カンパニータイムズ調査、2024年2月(잡플래닛 컴퍼니타임스 서베이) https://www.jobplanet.co.kr/contents/news-6020/
- マネートゥデイのファクトチェック、2022年3月24日(머니투데이) https://www.mt.co.kr/tech/2022/03/24/2022032414460794754
- 韓国経済新聞の青少年向け紙面、2022年3月28日(한국경제 생글생글) https://sgsg.hankyung.com/article/2022032501021
- 雇用労働部告示第2026-60号、2027年適用最低賃金(고용노동부 고시 제2026-60호) https://www.minimumwage.go.kr/customer/notice/view.do?bultnId=4774
このガイドは2026年10月23日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

