韓国の虚偽求人広告は最長懲役5年:採用広告の禁止行為と罰則
韓国で人材を募集する事業主向けに、虚偽の採用広告に当たる行為、2つの法律による罰則、掲載後に不利に変更できない条件をまとめました。
ひと目でわかるポイント
- 採用手続法の適用対象
- 常時30人以上の労働者を使う事業場
- アイデア収集・宣伝目的の虚偽広告
- 5年以下の懲役または20,000,000ウォン以下の罰金
- 広告条件の不利な変更
- 5,000,000ウォン以下の過料(1回目3,000,000ウォン)
- ポートフォリオ・知的財産権の強要
- 5,000,000ウォン以下の過料(実際の移転は不要)
- 誰による虚偽求人広告でも
- 5年以下の懲役または50,000,000ウォン以下の罰金
- 通報先
- 雇用労働部のサイトまたは地方雇用労働官署
このガイドは、韓国で人材を募集する事業主と、韓国企業に応募する人を対象としています。採用広告は2つの法律で規制されています。「採用手続の公正化に関する法律(채용절차의 공정화에 관한 법률)」は、虚偽の採用広告と広告条件の不利な変更を罰します。「職業安定法(직업안정법)」は、労働者を募集するすべての人の虚偽の求人広告を罰します。以下は2026年10月時点の内容です。
誰が守る必要があるか
採用手続の公正化に関する法律(以下「採用手続法」)は、常時30人以上の労働者を使用する事業または事業場の採用手続に適用されます(第3条)。国や地方自治体が公務員を採用する場合には適用されません。
職業安定法の適用範囲はさらに広いです。第34条は、第28条に基づいて労働者を募集する人に適用されます。第28条は、労働者を雇おうとする人が広告、文書、情報通信網などで自由に募集できると定めています。職業紹介事業者と労働者供給事業者も対象です。会社の規模は関係ありません。
採用手続法の4つの禁止事項
採用手続法第4条は、求人者(구인자)に4つのことを禁じています。
| 禁止行為 | 条文 | 最高の罰則 |
|---|---|---|
| 採用を装ってアイデアを集めたり事業場を宣伝したりする目的などで、虚偽の採用広告を出すこと | 第4条第1項 | 5年以下の懲役または20,000,000ウォン以下の罰金(第16条) |
| 正当な理由なく、採用広告の内容を求職者に不利に変更すること | 第4条第2項 | 5,000,000ウォン以下の過料(第17条第2項) |
| 採用後、正当な理由なく、採用広告で示した労働条件を求職者に不利に変更すること | 第4条第3項 | 5,000,000ウォン以下の過料 |
| 採用書類と、それに関する著作権などの知的財産権を求人者に帰属させるよう強要すること | 第4条第4項 | 5,000,000ウォン以下の過料 |
過料の対象となる3つの行為には、施行令の別表に基準額があります。1回目の違反は3,000,000ウォン、2回目は4,000,000ウォン、3回目以降は5,000,000ウォンです。過去3年間に同じ違反で過料を受けていれば、次の回数として扱われます。違反がささいな不注意や誤りによる場合などは、金額を2分の1の範囲で減らすことができます。
1つ目の行為は刑事罰の対象です。残りの3つは過料(과태료)の対象です。
求人者は採用の進め方を調整できます。しかし、正当な理由なく求職者に不利に変えることはできません。法律は「正当な理由」を定義していません。不利な変更の例は次のとおりです。
- 週5日勤務と広告し、契約の際に週6日勤務を求める場合
- 管理職クラスのポストとして広告し、それより低い職級で採用する場合
虚偽の採用広告とは
虚偽の採用広告とは、採用する意思がないのに出す広告です。法律は代表的な目的として、求職者のアイデアの収集と事業場の宣伝を挙げています。第4条第1項は「目的など」と定めているため、ほかの隠れた目的も該当することがあります。
代表的な例は次のとおりです。
- 応募者に製品改善の提案書を出させ、誰も採用せずにアイデアだけを事業に使う場合
- 採用広告を商品やサービスの宣伝に使う場合。たとえば、学習塾が採用を装って受講生を募集する場合や、製造業者が自社製品を宣伝して販売する場合です。
「職業安定法施行令(직업안정법 시행령)」第34条は、新聞、放送、インターネット、看板、張り紙など、どのような方法による広告でも、次の4つを虚偽の求人広告としています。
- 求人を装って物品販売、受講生の募集、職業紹介、副業のあっせん、資金集めなどを行う広告
- 虚偽の求人を目的として、求人者の身元(会社名または氏名)を表示しない広告
- 求人者が示した職種、雇用形態、労働条件などが、応募時のものと著しく異なる広告
- その他、広告の重要な内容が事実と異なる広告
職業安定法上の虚偽の求人広告は、5年以下の懲役または50,000,000ウォン以下の罰金の対象です(第47条)。違反者を通報した人に報奨金を支払える規定もあります(第45条の3)。
ポートフォリオ、提案書、課題物
採用手続法第2条は、採用書類(채용서류)を広く定義しています。
- 基礎審査資料:応募書類、履歴書、自己紹介書
- 立証資料:学位証明書、経歴証明書、資格証明書など、基礎審査資料に書いた事項を証明するすべての資料
- 深層審査資料:作品集、研究実績物など、求職者の実力が分かるすべての物と資料
第4条第4項により、これらの書類やその知的財産権を引き渡すよう強要することはできません。禁止されているのは強要する行為そのものです。実際に権利が移っていなくても、過料を受けることがあります。知的財産権とは、法令や条約などにより認められ、または保護される知的財産に関する権利です。知的財産とは、知識、情報、技術、思想や感情の表現、営業や物の表示、生物の品種や遺伝資源など、財産的価値を実現できる無形のものをいいます(「知的財産基本法(지식재산 기본법)」第3条)。
強要の例としては、デザイン会社が応募者のポートフォリオの著作権の帰属を求める場合、会社が応募者の改善提案書を事業に使う場合、面接で行わせた翻訳の帰属を求める場合があります。
通報と点検
採用手続法の違反は、雇用労働部(고용노동부)のウェブサイトで通報できます。「民願(민원)」メニューの「オンライン民願申請(온라인민원신청)」で、採用手続法の申告を検索してください。地方雇用労働官署(지방고용노동관서)に通報することもできます。調査と過料の賦課は、地方雇用労働官署の長が担当します(施行令第6条)。職業安定法上の虚偽の求人広告は、雇用労働部、市・郡・区庁(시·군·구청)、警察に通報できます。
地方雇用労働官署は集中点検の期間も設けています。たとえば雇用労働部の亀尾支庁は、2026年10月1日から11月20日まで、管内の30人以上の事業場を集中的に指導・点検すると発表しました。
求職者のための確認ポイント
元の記事は、応募や面接の前に次の点を確認するよう勧めています。
- 管理職、企画職、事務職の募集なら、会社の設立年、主な事業、従業員数を確認してください。自分が担当する業務も具体的に尋ねてください。
- 学習塾が受講生の就職を前面に出しているなら、実際には受講の申し込みを誘う広告でないか確認してください。
- 仕事の内容に比べて給与が根拠なく高いなら、マルチ商法の会社でないか確認してください。
- 会社の事務所以外の場所で面接しようと言われたら、勤務する事務所で面接を受けたいと伝えてください。
- 営業職なら、基本給と成果給がそれぞれいくらなのかをはっきり確認してください。
事業主のチェックリスト
- 常時労働者の数を確認してください。30人以上なら、採用手続法があなたの採用に適用されます。
- 実際に採用するポストだけを広告してください。
- 採用の途中でも採用後でも、正当な理由なく広告の条件を下げないでください。
- 応募者に、ポートフォリオ、提案書、課題物の権利を引き渡すよう求めないでください。
- すべての採用広告に会社名を表示してください。
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 채용절차법 | chaeyong jeolchabeop | 採用手続の公正化に関する法律の略称です。常時30人以上の事業場の採用に適用されます。 |
| 직업안정법 | jigeop anjeongbeop | 職業安定法。労働者を募集するすべての人の虚偽求人広告を禁じます。 |
| 거짓 채용광고 | geojit chaeyong gwanggo | 虚偽の採用広告。採用する意思がないのに出す広告です。 |
| 구인자 | guinja | 求人者。人を採用しようとする人や会社です。 |
| 구직자 | gujikja | 求職者。採用広告に応募する人です。 |
| 채용서류 | chaeyong seoryu | 採用書類。応募書類、履歴書、証明書、作品集などです。 |
| 심층심사자료 | simcheung simsa jaryo | 深層審査資料。作品集や研究実績物など、実力を見る資料です。 |
| 지식재산권 | jisik jaesangwon | 著作権などの知的財産権です。 |
| 과태료 | gwataeryo | 過料。刑事罰ではなく、行政機関が科す金銭的な制裁です。 |
| 지방고용노동관서 | jibang goyong nodong gwanseo | 地方雇用労働官署。調査と過料の賦課を担う雇用労働部の地方組織です。 |
根拠
- 採用手続の公正化に関する法律 第2条・第3条・第4条・第16条・第17条(채용절차의 공정화에 관한 법률): https://www.law.go.kr/법령/채용절차의공정화에관한법률
- 同法施行令 第6条・第7条、別表(過料の賦課基準)(채용절차의 공정화에 관한 법률 시행령): https://www.law.go.kr/법령/채용절차의공정화에관한법률시행령
- 職業安定法 第28条・第34条・第45条の3・第47条(직업안정법): https://www.law.go.kr/법령/직업안정법
- 職業安定法施行令 第34条(직업안정법 시행령): https://www.law.go.kr/법령/직업안정법시행령
- 知的財産基本法 第3条(지식재산 기본법): https://www.law.go.kr/법령/지식재산기본법
- 雇用労働部亀尾支庁のお知らせ(2026年9月30日)と添付リーフレット(고용노동부 구미지청 「2026년 하반기 채용절차법 집중 지도·점검 기간 운영」): https://www.moel.go.kr/local/gumi/news/notice/noticeView.do?bbs_seq=20260900947
このガイドは2026年10月26日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

