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韓国の事業所の63%は賃金体系がなく、それが採用を遅らせています

韓国で採用する事業主と採用担当者向けに、2025年の賃金体系の現状、体系がないことで起きる採用の問題、今できる対策をまとめました。

PAPATONY人事・労務2026年10月23日更新約4分で読めます

ひと目でわかるポイント

賃金体系なし(2025年6月)
全体63.0%、1,000人以上3.7%
号俸給
全体13.1%、1,000人以上62.6%
職務給
全体8.6%、1,000人以上28.8%
労働契約時の書面明示
賃金の構成項目・計算方法・支払方法(勤労基準法第17条)
常時30人以上の求人広告
正当な理由のない不利な変更は禁止、過料5,000,000ウォン以下
無料の賃金情報
雇用労働部の賃金職業ポータル(wagework.go.kr)

このガイドは、韓国で人材を採用する事業主、人事担当者、採用担当者と、韓国企業の給与提示を読み解きたい求職者のためのものです。求職者が最初に尋ねるのは給与であることが多いのですが、多くの韓国企業はこの質問に明確に答えられません。情報を隠しているからではなく、基本給を決める正式な体系を持たない事業所が大半だからです。以下の数値は雇用労働部(고용노동부)の2025年6月時点の調査結果です。

韓国の事業所の基本給の決め方

雇用労働部の事業体労働力調査付加調査(사업체노동력조사 부가조사)は、常用労働者が1人以上いる事業所が基本給をどう決めているかを調べています。1つの事業所が複数の方式を併用できるため、割合は重複します。

事業所の規模(2025年6月)賃金体系なし号俸給(호봉급)職能給(직능급)職務給(직무급)
全事業所63.0%13.1%9.5%8.6%
1~4人76.2%7.1%6.1%4.8%
100人以上4.8%52.0%24.7%29.8%
1,000人以上3.7%62.6%21.6%28.8%

1年前(2024年6月)は、賃金体系なし64.0%、号俸給12.8%、職務給8.3%でした。雇用労働部の定義では、号俸給は勤続年数に応じて賃金が上がる制度、職能給は労働者の職務能力や熟練度に応じて、職務給は職務の相対的な価値に応じて賃金を決める制度です。

中小企業では、経営者の裁量や個別交渉で賃金を決めることが多くあります。柔軟ではありますが、時間がたつと問題が生じます。大企業の多くは号俸制を維持しています。安定していますが、成果や能力に応じて報酬に差をつけにくい制度です。雇用労働部自身も、韓国の賃金体系は他国より年功的で、企業規模や雇用形態による賃金格差の主な原因になっていると説明しています。

賃金体系がないと採用が遅れます

  • 求職者は受け取る給与を予測できず、応募をためらいます。経験者は、今の職場よりどれだけ増えるのか判断できません。
  • 人事担当者は競争力のある給与を示しながら、社内の公平性も守らなければなりません。基準がないと提示のたびに経営陣と協議し直す必要があり、採用が遅れて優秀な人材を逃します。
  • ヘッドハンターや採用代行会社は双方の期待を調整しにくく、採用に時間がかかり、成約率も下がります。

職務給で変わること

職務給は、勤続年数ではなく職務の価値と難しさに応じて賃金を決めます。業種で標準モデルを共有すれば、求職者は職務の市場価値を知ることができ、企業は競合他社と賃金水準を比べられます。採用市場の情報格差が縮まります。賃金が職務と成果に連動するため、成果重視の文化づくりにも役立ち、早く成長したい人材にとって魅力的です。

政府の支援

  • 業種別の賃金モデル:雇用労働部は2024年、石油化学業、自動車部品業、造船業の賃金体系改編コンサルティングを支援しました。2025年の事業は造船業、自動車部品業、IT、バイオを対象とし(石油化学業は拡散ネットワークのみ支援)、業種内の企業が自ら使える標準賃金モデル案(표준임금모델안)の作成を求めました。
  • 職場革新共生コンサルティング(일터혁신 상생컨설팅):雇用労働部と労使発展財団(노사발전재단)が運営しています。2026年の事業では、支援分野に賃金体系(賃金構造の点検、賃金管理基準の整備、包括賃金制(포괄임금제)の運用点検)が含まれています。
  • 賃金情報:雇用労働部の賃金職業ポータル「ワークペディア」(임금직업포털、wagework.go.kr)は、産業別・規模別・職業別の賃金情報と賃金体系の改善事例を提供しています。

自社だけで賃金体系を設計するのが難しい中小企業は、これらの制度を活用してください。事業名や分野は毎年変わるため、その年の公告を確認してください。

事業主が今できること

  1. 職級別・職務別の賃金の現状を把握します。社内の公平性と社外の競争力を併せて点検します。
  2. 職務を分析し評価します。すべての職務を分類し、責任、権限、必要な能力を定めたうえで、相対的な価値を評価します。賃金差の根拠ができます。
  3. ベンチマークをします。同業他社の賃金水準と体系を調べ、賃金だけでなく福利厚生、勤務環境、成長機会も比べます。
  4. 上記の政府の制度と賃金情報を活用します。

採用担当者へのアドバイス

  • 求人広告に賃金の範囲を書いてください。正確な金額を示せなくても、範囲があれば求職者は提示を判断できます。
  • 面接では会社の賃金の決め方を説明し、求職者の期待を確かめて調整の余地を探してください。成長機会、福利厚生、勤務環境を含めた報酬全体を示してください。
  • 法的な点も押さえてください。労働契約を結ぶとき、使用者は賃金の構成項目・計算方法・支払方法を記載した書面を労働者に渡さなければなりません(勤労基準法(근로기준법)第17条)。常時30人以上の事業所では、正当な理由なく求人広告の内容を求職者に不利に変えたり、採用後に広告で示した労働条件を不利に変えたりできません(採用手続の公正化に関する法律(채용절차의 공정화에 관한 법률)第3条・第4条)。違反すると5,000,000ウォン以下の過料です(第17条)。労働者に毎月示すべき賃金項目は賃金明細書の記載事項を参考にしてください。
  • 経営陣と定期的に話し、採用市場の実情を伝えてください。重要な人材を採るには、従来の慣行を超えた判断が必要なこともあります。

採用の先にあるもの

明確な賃金体系は、組織の公正さと透明性を高め、優秀な人材の定着にも役立ちます。基本給、成果給、福利厚生、キャリア開発、ワークライフバランスを含めたトータル・リワードの視点で考えてください。既存社員の利害、財務負担、組織文化があるため、改編は簡単ではありません。小さなことから始め、段階的に改善していきましょう。

よく目にする韓国語の用語

用語ローマ字表記意味
임금체계imgeum chegye賃金体系。会社が基本給を決める基準と方式です。
호봉급hobonggeup号俸給。勤続年数に応じて基本給が上がる制度です。
직능급jingneunggeup職能給。職務能力や熟練度に応じて基本給を決める制度です。
직무급jingmugeup職務給。職務の相対的な価値に応じて基本給を決める制度です。
표준임금모델안pyojun imgeum moderan標準賃金モデル案。同じ業種の企業が参考にできる賃金モデルの案です。
일터혁신 상생컨설팅ilteo hyeoksin sangsaeng keonseolting職場革新共生コンサルティング。賃金体系を含む人事・労務管理を支援する政府のコンサルティングです。
임금직업포털imgeum jigeop poteol賃金職業ポータル。雇用労働部の賃金・職業情報サイト(ワークペディア)です。
채용광고chaeyong gwanggo求人広告です。
총보상chongbosangトータル・リワード。基本給に成果給、福利厚生、成長機会を加えた報酬全体です。

根拠

  • 雇用労働部「2025年6月時点 事業体労働力調査付加調査(사업체노동력조사 부가조사)結果」(2025年11月27日掲載): https://laborstat.moel.go.kr/lsm/bbs/selectBbsDetail.do?sysId=0010001&prdctnId=&svyOdr=0&bbsId=LSS106&bbsSn=1306&selectMenuId=0010001100116&menuId=0010001100116&upperMenuId=0010001100&leftMenuId=0010001100
  • 雇用労働部「賃金体系改善(임금체계 개선)」政策案内(2024年6月の調査値を含む): https://moel.go.kr/policy/policyinfo/wagesystemRenewal/main.do
  • 雇用労働部公告第2024-222号「2024年 業種別賃金体系改編コンサルティング(업종별 임금체계 개편 컨설팅)運営機関選定」: https://www.moel.go.kr/news/notice/noticeView.do?bbs_seq=20240500116
  • 雇用労働部公告第2025-64号「2025年 業種別賃金体系改善拡散支援事業(업종별 임금체계 개선 확산 지원 사업)運営機関募集」: https://www.moel.go.kr/news/notice/noticeView.do?bbs_seq=20250200054
  • 「2026年 職場革新共生コンサルティング(일터혁신 상생컨설팅)参加企業募集公告」(雇用労働部・労使発展財団の事業): https://gecci.korcham.net/file/dext5uploaddata/2026/2026%EB%85%84%20%EC%9D%BC%ED%84%B0%ED%98%81%EC%8B%A0%20%EC%83%81%EC%83%9D%EC%BB%A8%EC%84%A4%ED%8C%85%20%EC%B0%B8%EC%97%AC%EA%B8%B0%EC%97%85%20%EB%AA%A8%EC%A7%91%20%EA%B3%B5%EA%B3%A0.pdf
  • 賃金職業ポータル ワークペディア(임금직업포털): https://www.wagework.go.kr
  • 勤労基準法(근로기준법)第17条: https://www.law.go.kr/법령/근로기준법
  • 採用手続の公正化に関する法律(채용절차의 공정화에 관한 법률)第3条・第4条・第17条: https://www.law.go.kr/법령/채용절차의%20공정화에%20관한%20법률

このガイドは2026年10月23日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。