ガイド一覧へ

韓国の賃金明細書には計算方法を含む6つの事項を記載します

賃金を支払うたびに、韓国の人事・給与担当者は計算方法を含む6つの事項を記載した賃金明細書を、書面(電子文書を含む)で労働者に交付する必要があります。

PAPATONY人事・労務2026年10月19日更新約4分で読めます

ひと目でわかるポイント

時期
賃金を支払うたび
義務者
使用者(労働者一人ひとりに交付)
方式
書面で交付(電子文書を含む。メール・社内システム)
記載事項
勤労基準法施行令第27条の2の6つの事項
時間外・夜間・休日労働
計算方法に時間数まで含める
別の義務
事業場ごとの賃金台帳の作成(法第48条第1項)

このガイドは、韓国で事業を行う会社(外国人投資企業を含む)の人事・給与担当者と、自分の給与を確認したい従業員向けです。勤労基準法(근로기준법)上の賃金明細書(임금명세서)は、金額を並べるだけの書類ではありません。賃金が出勤日数や時間によって変わる場合は、その計算方法まで記載する必要があります。

原則:賃金を支払うたびに書面で交付します

勤労基準法第48条第2項は、使用者が賃金を支払うときに、労働者に賃金明細書を書面で交付するよう定めています。ここでいう書面には、電子文書及び電子取引基本法(전자문서 및 전자거래 기본법)第2条第1号による電子文書が含まれます。そのため、メールや社内システムで交付しても書面での交付と認められます。

明細書に記載する事項は、勤労基準法施行令(근로기준법 시행령)第27条の2が定めています。給与明細を渡しているから十分だと考える会社は多いのですが、第5号は金額を並べる以上のことを求めています。賃金の構成項目ごとの金額が出勤日数・時間などによって変わる場合は、その計算方法を記載しなければなりません。時間外労働(연장근로)、夜間労働(야간근로)、休日労働(휴일근로)については、時間数まで含める必要があります。

必ず記載する6つの事項

号記載事項
1労働者の氏名、生年月日、社員番号など、労働者を特定できる情報
2賃金支払日
3賃金総額
4基本給、各種手当、賞与、成果給、その他の賃金の構成項目ごとの金額
5構成項目ごとの金額が出勤日数・時間などによって変わる場合、その計算方法
6賃金の一部を控除した場合、控除項目ごとの金額と総額などの控除内訳

第4号には追加の規定があります。通貨以外のもので支払った賃金があれば、その品名と数量、評価総額を記載しなければなりません。現物支給分を明細書から外す慣行は、この規定に反します。

第6号の控除は、法第43条第1項ただし書に根拠がある場合に限られます。明細書に控除項目を書いたからといって、その控除が適法になるわけではありません。控除するには、法令または労働協約(단체협약)に特別な規定が必要です。明細書は、その内訳を示す書類にすぎません。

計算方法の記載が必要な項目

第5号は実務で最も争いになる部分です。条文は、金額が出勤日数・時間などによって変わる場合に計算方法の記載を求めています。毎月同じ固定額で支払う項目には、計算方法を別に書く必要はありません。

  • 固定の基本給:毎月同じ金額なら、計算方法の記載は不要です。
  • 時間外労働手当:時間数を含めた計算方法を記載します。
  • 夜間労働手当:時間数を含めた計算方法を記載します。
  • 休日労働手当:時間数を含めた計算方法を記載します。
  • 日割計算(일할계산)した給与:出勤日数で変わるため、計算方法の記載が必要です。
  • 成果給:支給基準が実績に連動するなら、算定根拠を記載しておくほうが安全です。

時間外労働手当を1行の金額だけで示すと、第5号を満たしません。何時間分にどの単価を適用したかが見える必要があります。

計算方法の示し方

時間外労働手当を例にします。時給換算額、適用する割増率、その月の時間外労働の時間数を並べて示します。その積が支給額と一致するかを、労働者がたどれるようにします。説明の文章を書く必要はありません。明細書の項目の横に時間数の欄と単価の欄を設ければ十分です。

日割計算も同じです。月の通常賃金(통상임금)をどの分母で割り、何日分を支給したかが分かれば足ります。分母を暦日数にするか所定労働日数(소정근로일수)にするかは、会社が基準を決めて一貫して適用します。基準を毎月変えると、計算方法を書いても検証できません。

賃金体系そのものを見直すときは、項目の構成がそのまま明細書の構造になります。就業規則の変更届出もあわせてご覧ください。

賃金台帳とは別の書類です

勤労基準法第48条第1項は、使用者に事業場ごとの賃金台帳(임금대장)の作成を求めています。賃金と家族手当の計算の基礎となる事項、賃金額、その他大統領令で定める事項を、賃金を支払うたびに記入しなければなりません。賃金台帳は会社が保管する記録で、賃金明細書は労働者に交付する書類です。2つの義務は別々にあります。台帳だけを作って明細書を渡さなければ、第2項の違反になります。

チェックリスト

  • 給与支払日ごとに明細書を交付します。
  • 交付手段を書面・メール・社内システムのどれにするか決めます。
  • 電子的に交付するなら、労働者が実際に閲覧できる形か確認します。
  • 労働者を特定する情報として、社員番号または生年月日を入れます。
  • 賃金支払日を明細書に記載します。
  • 賃金総額と構成項目ごとの金額が一致するか検算します。
  • 現物で支払った賃金の品名・数量・評価総額を反映します。
  • 時間外・夜間・休日労働は時間数も記載します。
  • 日割計算分の計算式を明細書に示します。
  • 控除項目ごとの金額と控除総額を分けて記載します。
  • 控除に法的根拠があるかを別に確認します。
  • 賃金台帳を事業場ごとに作成します。
  • 明細書と台帳の数字が食い違っていないか照合します。
  • 退職者の最後の給与にも明細書を交付します。
  • 明細書の様式を変えるときは、6つの事項が抜けていないか改めて確認します。

よく目にする韓国語の用語

用語ローマ字表記意味
임금명세서imgeum myeongseseo賃金明細書。賃金を支払う際に使用者が労働者に交付する書類
임금대장imgeum daejang賃金台帳。使用者が事業場ごとに作成・保管する賃金の記録
근로기준법geullo gijunbeop勤労基準法。労働条件の基準を定める韓国の基本法
연장근로yeonjang geullo延長勤労。時間外労働
야간근로yagan geullo夜間労働
휴일근로hyuil geullo休日労働
일할계산ilhal gyesan日割計算。給与を日単位で計算すること
통상임금tongsang imgeum通常賃金。本記事の例では日割計算の基準額
소정근로일수sojeong geullo ilsu所定労働日数
단체협약danche hyeobyak労働協約。労働組合と使用者が結ぶ協約

根拠

  • 勤労基準法第48条第1項・第2項(근로기준법 제48조 제1항·제2항)
  • 勤労基準法第43条第1項ただし書(근로기준법 제43조 제1항 단서)
  • 勤労基準法施行令第27条の2(근로기준법 시행령 제27조의2)
  • 電子文書及び電子取引基本法第2条第1号(전자문서 및 전자거래 기본법 제2조 제1호)

このガイドは2026年10月19日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。