韓国の採用ルール:差別禁止、雇用義務、報勲推薦
韓国で採用する事業主向けに、会社の規模ごとに適用される採用関連の法律、2025~2026年の変更点、違反時の罰則をまとめました。
ひと目でわかるポイント
- 募集・採用での差別
- 性別・年齢による差別はそれぞれ500万ウォン以下の罰金
- 障害者の義務雇用率
- 常時50人以上の民間事業主は3.1%
- 障害者雇用負担金
- 常時100人以上、翌年1月31日までに申告・納付
- 報勲の雇用義務
- 1日20人以上を雇用する企業、業種別3%~8%
- 報勲特別雇用の子の年齢
- 2025年1月1日から39歳まで(従来35歳)
- 就業規則
- 常時10人以上は届出義務、未届出は500万ウォン以下の過料
このガイドは、韓国で採用を行う事業主と人事担当者向けです。韓国の法律は採用差別を禁じ、応募者に求められる情報を制限し、会社の規模に応じた雇用義務を定めています。多くは以前から施行されている規定です。民間の事業主にとって最近の主な変更は、報勲特別雇用(보훈특별고용)での国家有功者などの子の支援年齢で、2025年1月1日に35歳から39歳に引き上げられました。数値は2026年10月時点のものです。
募集・採用における差別の禁止
複数の法律が重なって適用されます。雇用政策基本法(고용정책 기본법)第7条は、事業主が合理的な理由なく、性別、信仰、年齢、身体条件、社会的身分、出身地域、学歴、出身学校、婚姻・妊娠または病歴を理由に、募集・採用で差別することを禁じています。雇用サービスを提供する者も同じ義務を負います。この法律には第7条違反の罰則がなく、罰則は下の表の個別の法律にあります。職業安定法(직업안정법)第2条は、職業紹介と雇用関係の決定における均等待遇の原則を定めています。
| 差別の理由 | 法律・条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 性別、職務に関係のない容貌・身長・体重・未婚の条件 | 男女雇用平等と仕事・家庭両立支援に関する法律(남녀고용평등과 일ㆍ가정 양립 지원에 관한 법률)第7条 | 500万ウォン以下の罰金(第37条) |
| 募集・採用での年齢 | 雇用上の年齢差別禁止及び高齢者雇用促進に関する法律(고용상 연령차별금지 및 고령자고용촉진에 관한 법률)第4条の4 | 500万ウォン以下の罰金(第23条の3) |
| 採用・昇進・異動・教育訓練での障害 | 障害者雇用促進及び職業リハビリテーション法(장애인고용촉진 및 직업재활법)第5条 | この法律に罰則なし |
職務に関係のない容貌・身長・体重・未婚の条件の禁止は、男女を問わずすべての応募者に適用されます。雇用労働部(고용노동부)の例規「男女雇用平等業務処理規定」(남녀고용평등 업무처리 규정、第207号、2023年8月17日施行)は、採用での性差別の例を挙げています。一方の性だけを募集すること、職種・職務ごとに男女を分けて募集したり性別で採用人数を割り当てたりすること、一方の性だけに追加の書類を求めること、一方の性だけを指す職種名を使うこと、そして基準が中立でも一方の性が満たすのが著しく難しく、事業主がその正当性を証明できない場合です。年齢の基準は、職務の性質上特定の年齢がやむを得ず求められる場合など、狭い例外でのみ認められます(同法第4条の5)。
応募者に求めてはならないこと、受け取ってはならないもの
採用手続の公正化に関する法律(채용절차의 공정화에 관한 법률)は、常時30人以上の労働者を使用する事業場に適用されます。同法第4条の3により、職務の遂行に必要でない次の情報を、応募書類に記載させたり証明資料として集めたりすることはできません。
- 応募者本人の容貌・身長・体重などの身体的条件
- 応募者本人の出身地域・婚姻の有無・財産
- 応募者の直系の親族(親や子など)と兄弟姉妹の学歴・職業・財産
違反すると500万ウォン以下の過料です(第17条)。
個人情報保護法(개인정보 보호법)により、必要最小限の個人情報だけを収集します(第16条)。同意を得て収集するときは、目的、項目、保有期間、同意を拒否できることを知らせます(第15条)。同意を得て他社に提供するときは、提供先、その利用目的と保有期間も知らせます(第17条)。
職業安定法第32条により、労働者を募集する者とその業務に従事する者は、名目を問わず応募者から募集に関する金品やその他の利益を受け取れません。例外は、登録した有料職業紹介事業者が求人者の依頼で募集・紹介する場合だけです。違反すると5年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金です(第47条)。国外で働く労働者を募集した場合は、募集後15日以内に雇用労働部に届け出ます(法第30条、施行令第31条)。届け出ないと100万ウォン以下の過料です。
高齢者と障害者の雇用
高齢者(고령자)は55歳以上の人です。常時300人以上の労働者を使用する事業主は、基準雇用率以上の高齢者を雇用するよう努めなければなりません。基準雇用率は常時労働者数の、製造業2%、運輸業と不動産・賃貸業6%、その他の産業3%です。雇用率自体は努力義務ですが、毎年の高齢者雇用状況の提出は義務で、提出しないと500万ウォン以下の過料です(第12条、第13条、第24条)。
常時50人以上の労働者を雇用する事業主は、障害者を義務雇用率以上雇用しなければなりません。民間の事業主は3.1%(2019年以降同じ)、公共機関は3.8%(2024年以降)です。重度障害者は2人として数えます。ただし、月の所定労働時間が60時間未満の重度障害者は除きます。常時100人以上の事業主が義務雇用率に届かない場合は、毎月不足する人数分の負担金を納めます。負担基礎額(부담기초액)は月換算の最低賃金の60%以上の範囲で雇用労働部長官が告示し、障害者の雇用率に応じて2分の1以内で加算できます。障害者を1人も雇用していない月は月換算の最低賃金の全額で、2026年は2,156,880ウォンです。翌年1月31日までに申告・納付します(第33条)。
報勲による就業支援の義務
国家有功者等礼遇及び支援に関する法律(국가유공자 등 예우 및 지원에 관한 법률)により、日常的に1日20人以上を雇用する公的・民間の企業と団体は就業支援実施機関(취업지원 실시기관)です。ただし、大統領令で定める製造業で200人未満を雇用する企業は除かれます(第30条)。主な義務は次のとおりです。
- 採用試験の加点:対象者に満点の10%または5%を、試験・科目ごとに加点します。満点の40%未満の科目がある場合や、点数に換算できない試験は除きます。加点で合格する人は選抜予定人数の30%を超えられません(第31条)。民間企業ではすべての職級が対象です(施行令別表8)。
- 雇用比率:全従業員の3%~8%の範囲で業種別に定められています(施行令別表9)。例えば、コンピュータープログラミングと情報サービス業は4%、専門サービス業は3%、金融業は7%です(第33条の2)。
- 届出と推薦:通知を受けたら30日以内に、事業の種類、雇用職種、雇用人数などを届け出ます。雇用比率に届かない場合、国家報勲部(국가보훈부)が雇用すべき人数の5倍の範囲で対象者を推薦します。企業は1か月以内に選んだ人を通知し(協議により2か月の範囲で延長可)、報勲特別雇用通知書を受けた日から30日以内に雇用します。正当な理由なく雇用命令に従わないと1,000万ウォン以下、届け出ないと300万ウォン以下の過料です(第86条)。
2025年1月1日から、国家有功者などの子の報勲特別雇用の支援年齢が35歳から39歳に引き上げられました(施行令第56条)。採用試験の加点の年齢基準は変わっていません。
就業規則
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則(취업규칙)を作成して雇用労働部長官に届け出なければなりません(勤労基準法(근로기준법)第93条)。労働時間・休日・休暇、賃金、退職、母性保護と仕事・家庭の両立支援、安全と保健、職場内いじめの予防と措置、表彰と制裁などを記載します。届け出ないと500万ウォン以下の過料です。作成・変更するときは、労働者の過半数で組織された労働組合、ない場合は労働者の過半数の意見を聴きます。労働者に不利な変更には同意が必要です(第94条)。雇用労働部が掲載している2025年版の標準就業規則を、事業場に合わせて修正して使えます。最近の休暇制度の変更も反映します。20日の有給の配偶者出産休暇は2026年9月18日から「配偶者出産前後休暇」(배우자 출산전후휴가)という名称になり、1週または2週の短期育児休職は2026年8月20日に始まりました。変更した就業規則は、労働者の意見または同意を添えて別紙第15号書式で届け出ますもご覧ください。
チェックリスト
- 職務上本当に必要でなければ、求人広告から性別・年齢・容貌・婚姻の条件を外します。
- 常時30人以上なら、応募書類から容貌・身長・体重・出身地・婚姻の有無・財産・家族に関する質問を削除します。
- 応募者からいかなる金品も受け取りません。
- 常時50人以上なら障害者の義務雇用率3.1%を確認し、100人以上なら負担金を予算に入れて1月31日までに申告します。
- 1日20人以上(製造業は200人以上)を雇用しているなら報勲の雇用比率を確認し、推薦を受けたら1か月以内に回答します。
- 常時10人以上なら、法改正のたびに就業規則を見直して届け出ます。
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 채용절차법 | chaeyong jeolchabeop | 採用手続の公正化に関する法律。常時30人以上の事業場に適用されます。 |
| 기초심사자료 | gicho simsa jaryo | 履歴書、応募書、自己紹介書など最初の審査に使う書類です。 |
| 의무고용률 | uimu goyongnyul | 障害者を雇用すべき比率。民間事業主は3.1%です。 |
| 장애인 고용부담금 | jangaein goyong budamgeum | 常時100人以上の事業主が義務雇用率に届かないときに納めるお金です。 |
| 부담기초액 | budam gichoaek | 不足する障害者1人あたりの毎月の負担金の基準額です。 |
| 기준고용률 | gijun goyongnyul | 300人以上の事業主が雇用に努めるべき55歳以上の高齢者の比率です。 |
| 취업지원 실시기관 | chwieop jiwon silsi gigwan | 報勲の就業支援義務を負う機関・企業。1日20人以上の雇用が基準です。 |
| 보훈특별고용 | bohun teukbyeol goyong | 国家報勲部が推薦した対象者を企業が雇用する制度です。 |
| 가점 | gajeom | 試験の点数に加える点数です。 |
| 취업규칙 | chwieop gyuchik | 常時10人以上の事業場が作成して届け出る就業規則です。 |
根拠
- 雇用政策基本法第7条(고용정책 기본법 제7조): https://www.law.go.kr/법령/고용정책기본법
- 職業安定法第2条・第30条・第32条・第47条・第50条(직업안정법): https://www.law.go.kr/법령/직업안정법
- 職業安定法施行令第31条(직업안정법 시행령 제31조): https://www.law.go.kr/법령/직업안정법시행령
- 男女雇用平等と仕事・家庭両立支援に関する法律第2条・第7条・第37条(남녀고용평등과 일ㆍ가정 양립 지원에 관한 법률): https://www.law.go.kr/법령/남녀고용평등과일ㆍ가정양립지원에관한법률
- 雇用労働部例規第207号「男女雇用平等業務処理規定」第3条(남녀고용평등 업무처리 규정): https://www.law.go.kr/행정규칙/남녀고용평등업무처리규정
- 雇用上の年齢差別禁止及び高齢者雇用促進に関する法律第4条の4・第4条の5・第12条・第13条・第23条の3・第24条、同施行令第2条・第3条・第10条(고용상 연령차별금지 및 고령자고용촉진에 관한 법률·시행령): https://www.law.go.kr/법령/고용상연령차별금지및고령자고용촉진에관한법률
- 障害者雇用促進及び職業リハビリテーション法第5条・第27条・第28条・第28条の2・第28条の3・第33条、同施行令第25条・第26条の2(장애인고용촉진 및 직업재활법·시행령): https://www.law.go.kr/법령/장애인고용촉진및직업재활법
- 国家有功者等礼遇及び支援に関する法律第29条~第34条・第86条、同施行令第47条・第54条~第56条・別表8・別表9(국가유공자 등 예우 및 지원에 관한 법률·시행령): https://www.law.go.kr/법령/국가유공자등예우및지원에관한법률시행령
- 国家報勲部のお知らせ、支援年齢39歳への引き上げ(국가보훈부 공지、2024年12月13日): https://mpva.go.kr/mpva/selectBbsNttView.do?key=76&bbsNo=15&nttNo=261460
- 採用手続の公正化に関する法律第3条・第4条の3・第17条(채용절차의 공정화에 관한 법률): https://www.law.go.kr/법령/채용절차의공정화에관한법률
- 個人情報保護法第15条~第17条(개인정보 보호법): https://www.law.go.kr/법령/개인정보보호법
- 勤労基準法第93条・第94条・第116条(근로기준법): https://www.law.go.kr/법령/근로기준법
- 雇用労働部天安支庁資料室「2025年標準就業規則」(고용노동부 천안지청、2025年6月18日): https://moel.go.kr/local/cheonan/info/dataroom/view.do?bbs_seq=20250601070
- 雇用労働部告示第2025-47号、2026年の最低賃金(최저임금 고시): https://www.minimumwage.go.kr/customer/notice/view.do?bultnId=4657
このガイドは2026年10月23日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

