韓国の賃金未払い:労働官署への陳情は25日以内に処理されます
賃金を受け取れない韓国の労働者向けに、労働ポータルでの陳情の出し方、証拠の集め方、25日の処理期間、2026年からの罰則をまとめました。
ひと目でわかるポイント
- 提出先
- 労働ポータル(labor.moel.go.kr)または管轄の労働官署
- 処理期間
- 25日(土曜日・公休日を除く)
- 延長
- やむを得ない理由で1回、その後は陳情人の同意が必要
- 陳情人の欠席
- 出席要求に2回応じないと終結されることがある
- 2026年10月8日からの罰則
- 5年以下の懲役または50,000,000ウォン以下の罰金
- 遅延利息
- 未払賃金に年20%
賃金を支払ってもらえない韓国の労働者(外国人労働者を含む)と、陳情を受けた事業主のためのガイドです。原則は、事業場を管轄する地方雇用労働官署に陳情(진정)を出せば、官署は25日以内に処理しなければならず、延長は限られた場合にしかできない、というものです。2026年10月8日までに改正された勤労基準法(근로기준법)と、雇用労働部(고용노동부)の勤労監督官執務規程(근로감독관 집무규정)に基づいています。
どこに、どう出すか
賃金未払いの陳情は、事業場を管轄する地方雇用労働官署(지방고용노동관서)が処理します(執務規程第35条)。オンラインでは、雇用労働部の陳情サイトである労働ポータル(노동포털、labor.moel.go.kr)の陳情・請願(진정·청원)メニューから「진정서(임금체불, 직장내 괴롭힘, 기타 노동법 위반)」という様式を選びます。同じ様式は窓口への持参、郵送、ファックスでも提出できます。雇用労働部の顧客相談センターの番号は1350です。事業場から遠くに住んでいる場合は、官署同士の協議で事件を別の官署に移すことができます。
外国人労働者の権利も同じです。勤労基準法は、国籍を理由とする労働条件の差別を禁じています(第6条)。
事業主の連絡先は、知っているものをすべて書きます。事業場の住所、事業者登録証上の住所、自宅の住所、電話番号、管理者・経理・人事担当者の氏名と番号です。勤労監督官(근로감독관)は出席要求書(출석요구서)を書面で送り、電話やファックスで出席を求めることもあります(執務規程第8条・第37条)。連絡のつく住所がないと、手続が遅れます。
勤労基準法は使用者(사용자)を、事業主、事業経営担当者、労働者に関する事項について事業主のために行為する者と定めています(第2条)。登録上の代表者と、実際に採用して賃金を払った人が違う場合は、両方を書きます。誰が採用し、誰が業務を指示し、誰が賃金を払ったかを具体的に書きます。
同僚の何人かも未払いなら、一緒に陳情することを検討してください。複数の労働者の一貫した供述は、事実関係の解明に役立ちます。監督官との連絡役を一人決めておくと効率的です。
証拠が足りないとき
最も確かな証拠は、労働契約書、賃金明細書、賃金が振り込まれた通帳の記録です。使用者は賃金を払うたびに、賃金明細書を書面(電子文書を含む)で交付しなければなりません(第48条)。小規模な事業場では、こうした資料が渡されないことがよくあります。その場合は、賃金やシフトに関するメッセージ、出退勤の記録、勤務表の写真、同僚の陳述書を集めます。陳述書には勤務期間、業務、賃金、未払いの経緯を書きます。最初の調査の前に、出席要求書に書かれた監督官に電話して事情を説明し、何を持参すべきかを聞いておきます。
未払賃金等・事業主確認書(체불 임금등·사업주 확인서)を申請すると、監督官は事業主や労働者の供述だけに頼ることはできません。雇用保険・労災保険の保険料の個人別賦課内訳のような客観的な資料を確認しなければなりません(執務規程第37条の2)。
調査の流れ
- 委任状を出した代理人を出席させることができ、事業主とは別々に調査するよう求めることもできます(執務規程第8条・第37条)。
- 陳情人が2回以上出席要求に応じない、郵便物が2回以上返送される、是正指示の前に陳情の意思がないと明確に示す、のいずれかに当たると、事件は終結されることがあります(第40条)。
- 事業主の所在が分からない、または事業主が2回以上出席要求に応じない場合、監督官は陳情人と参考人の調査結果で判断し、違反が確認されればすぐに捜査を始めます(第40条)。監督官の求めに応じて報告や出席をしない使用者には、5,000,000ウォン以下の過料が科されます(勤労基準法第13条・第116条)。
- 賃金未払いが確認されると、監督官は確認した日を含めて3勤務日以内に、期限を定めた文書で是正指示を出します(執務規程第37条の2)。事業主が期限内に支払えば事件は終わります。是正指示の後は、陳情人が取り下げても事件は終わりません。支払わなければ捜査に移ります。
処罰不願(처벌불원)の意思表示は慎重にしてください。賃金未払いの罪は、被害者の明示的な意思に反して起訴できないため、事件は終結します。この意思表示は撤回できず、同じ内容で再び陳情することもできません(執務規程第41条)。
処理期間と延長
官署は陳情を受け付けた日から25日以内に処理しなければなりません(執務規程第42条)。土曜日と公休日は日数に入れません(民願処理に関する法律(민원 처리에 관한 법률)第19条)。告訴・告発事件は2か月以内に捜査を終え、検事に送致します。
25日は、やむを得ない理由があれば1回延長できます。さらに延長するには陳情人の同意が必要です。事業主が未払賃金を払うために政府の融資を申請した場合は、陳情人の同意を得て50日間、処理を猶予できます。官署は延長のたびに陳情人に通知しなければなりません。延長した期間も過ぎた場合は、月1回以上、遅れの理由と処理予定日を知らせなければなりません。進行状況は労働ポータルの「나의민원 조회」(私の民願照会)で確認できます。
結果に納得できないとき
まず監督官に、決定が誤っている理由を証拠とともに説明します。不利に終結した場合は、再び陳情できます。官署は担当監督官を替える、検事の指揮を受ける、事件類型別の専門委員会の助言を受ける、のいずれかの方法で処理します(執務規程第43条)。同じ事件がさらに受け付けられると、外部委員を1人以上含む申告事件審査委員会が審査できます。結果と理由は書面で通知されます。
罰則と限界
- 2026年10月8日から、賃金、退職後14日以内の金品清算、延長労働の割増賃金などを支払わない場合、5年以下の懲役または50,000,000ウォン以下の罰金に処されます(勤労基準法第107条)。それまでの上限は3年以下の懲役または30,000,000ウォン以下の罰金でした。被害者の明示的な意思に反して起訴することはできませんが、名簿が公開された滞納事業主が公開期間中に再び違反した場合は例外です。
- 未払賃金には年20%の遅延利息がつきます。退職後14日以内に支払われなかった金品が対象で、2025年10月23日からは在職中に定期の支払日に支払われなかった賃金も対象です(第37条、施行令第17条)。
- 労働官署は事業主の財産を差し押さえることはできません。未払いが清算されない場合、監督官は賃金債権保障法(임금채권보장법)に基づく代支給金(대지급금)の申請手続と、大韓法律救助公団(대한법률구조공단)の無料法律救助を案内しなければなりません(執務規程第40条)。民事訴訟では、明白な故意や1年間で3か月以上の未払いなど、勤労基準法第43条の8に当たる場合、未払額の3倍以内の金額を請求できます。
- 使用者は、申告を理由に解雇その他の不利益な扱いをすることはできません(第104条)。違反すると2年以下の懲役または20,000,000ウォン以下の罰金に処されます(第110条)。
- 2026年12月8日から、勤労監督官の名称は労働監督官(노동감독관)に変わります(労働監督官職務執行法(노동감독관 직무집행법))。それ以前に出した陳情はそのまま有効です。
チェックリスト
- 労働ポータルか、事業場を管轄する官署に陳情書を出します。
- 知っている住所・電話番号・管理者をすべて書き、登録上の代表者と実際の事業主を両方書きます。
- 労働契約書、賃金明細書、通帳の記録、メッセージ、同僚の陳述書を集めます。
- 出席要求には本人が出るか、代理人を送ります。
- 処罰不願の意思表示は、事件が完全に終わることを理解してからにします。
- 25日の処理期間と延長の通知を確認します。
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 진정 | jinjeong | 労働官署に法違反の調査を求める陳情 |
| 임금체불 | imgeum chebul | 賃金の未払い・遅配 |
| 근로감독관 | geullo gamdokgwan | 陳情を調査する勤労監督官。2026年12月8日から노동감독관 |
| 지방고용노동관서 | jibang goyong nodong gwanseo | 陳情を処理する地方雇用労働官署 |
| 출석요구서 | chulseok yoguseo | 調査への出席を求める書面 |
| 처벌불원 | cheobeol burwon | 被害者が処罰を望まないという意思表示。事件は終結する |
| 체불 임금등·사업주 확인서 | chebul imgeumdeung saeopju hwaginseo | 未払いを確認する書類。代支給金や法律救助の申請に使う |
| 대지급금 | daejigeupgeum | 国が未払賃金の一部を立て替える代支給金 |
根拠
- 勤労基準法第2条・第6条・第13条・第36条・第37条・第43条の8・第48条・第104条・第107条・第110条・第116条(근로기준법) — https://www.law.go.kr/법령/근로기준법
- 勤労基準法施行令第17条(근로기준법 시행령 제17조) — https://www.law.go.kr/법령/근로기준법%20시행령
- 勤労監督官執務規程(雇用労働部訓令第517号)第8条・第35条・第37条・第37条の2・第40条~第43条(근로감독관 집무규정) — https://www.law.go.kr/행정규칙/근로감독관집무규정
- 民願処理に関する法律第19条(민원 처리에 관한 법률 제19조) — https://www.law.go.kr/법령/민원%20처리에%20관한%20법률
- 労働監督官職務執行法(2026年12月8日施行)と附則第2条(노동감독관 직무집행법) — https://www.law.go.kr/법령/노동감독관%20직무집행법
- 労働ポータルの陳情・請願様式と処理期間(노동포털 진정·청원) — https://labor.moel.go.kr/minwonApply/minwonApply.do?searchGubun=2
このガイドは2026年10月23日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

