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韓国の不当解雇の賃金相当額は、働き続けていれば得た賃金の全部です

解雇された労働者と人事担当者向けに、労働委員会の救済手続、賃金相当額の範囲、他の仕事で得た収入の控除限度をまとめました。

PAPATONY人事・労務2026年10月23日更新約5分で読めます

ひと目でわかるポイント

救済申請
解雇の日から3か月以内(常時5人以上の事業場)
不服申立て期限
再審申請10日、行政訴訟15日
賃金相当額
働き続けていれば得た賃金の全部(定期賞与を含む)
中間収入の控除
休業手当(平均賃金の70%)を超える部分からのみ
履行強制金
1回30,000,000ウォン以下、年2回、最長2年
消滅時効
賃金は3年、判決で確定した債権は10年

このガイドは、韓国で解雇された労働者と、不当解雇の判定後に賃金相当額を計算する人事担当者のためのものです。労働委員会(노동위원회)の救済手続と解雇期間中の賃金相当額(임금 상당액)の範囲を、勤労基準法(근로기준법)と大法院(대법원、韓国の最高裁判所)の判例に基づき、2026年10月23日時点でまとめました。

誰が申請でき、期限はいつまでか

使用者は正当な理由なく労働者を解雇できません(第23条第1項)。不当解雇だと考える場合、解雇の日から3か月以内に地方労働委員会(지방노동위원회)へ救済を申請できます(第28条)。ただし、常時4人以下の事業場にはこの救済規定が適用されません(施行令第7条、別表1)。そのため、こうした事業場の労働者は労働委員会に救済を申請できません。

段階期限条文
地方労働委員会への救済申請解雇の日から3か月第28条第2項
中央労働委員会(중앙노동위원회)への再審申請判定書の通知を受けた日から10日第31条第1項
行政訴訟再審判定書の送達を受けた日から15日第31条第2項

救済命令は、再審申請や行政訴訟があっても効力が停止しません(第32条)。労働者が原職復帰を望まない場合、労働委員会は復帰の代わりに、解雇期間中に得られたはずの賃金相当額以上の金品の支払いを命じることができます(第30条第3項)。契約期間の満了や定年の到来で復帰が不可能になっても、労働委員会は判定を行い、賃金相当額の支払いを命じることができます(第30条第4項)。

救済命令の強制方法

  • 履行強制金(이행강제금): 履行期限までに救済命令を履行しない使用者には、1回30,000,000ウォン以下の履行強制金を、年2回の範囲で最長2年間課します(第33条)。労働者は、履行期限が過ぎた時から15日以内に不履行の事実を労働委員会に知らせることができます。
  • 刑事罰: 確定した救済命令を履行しない場合、1年以下の懲役または10,000,000ウォン以下の罰金です(第111条)。ただし、起訴には労働委員会の告発が必要です(第112条)。
  • 裁判所: 救済命令は使用者に公法上の義務を負わせるだけで、労使間の私法上の法律関係を直接生じさせたり変更したりはしません(大法院1996年4月23日判決 95다53102)。未払い金を強制執行するには、裁判所の判決が必要です。

賃金相当額に含まれるもの

解雇が無効であれば、労働者の地位は続いていたものとみなされます。働けなかったのは使用者の責めに帰すべき事由によるため、働き続けていれば受け取れたはずの賃金の全部を請求できます(民法第538条第1項、大法院1981年12月22日判決 81다626)。

ここでいう賃金は勤労基準法上の賃金です。労働の対価として継続的・定期的に支払われ、労働協約・就業規則・給与規程・労働契約・労働慣行などで使用者に支払義務があるものは、名称を問わずすべて含まれます。通常賃金に限られません(大法院2012年2月9日判決 2011다20034)。実務では次のとおりです。

  • 基本給と定期的な各種手当が含まれます。
  • 毎年支払われる賞与も月割りにして含まれます。
  • 毎年の団体交渉で賃上げをしてきた場合、解雇期間の賃金も引き上げ後の額で計算します(大法院1993年9月24日判決 93다21736)。
  • 業務経費を実費で補う金品は労働の対価ではないため除かれます。名称ではなく実際の性格で判断します。
  • 定年退職者を有期契約で再雇用する慣行が確立していた場合、定年後の期間の賃金も認められることがあります(大法院2023年6月1日判決 2018다275925)。

計算例

項目金額
月の基本給と手当2,296,410ウォン
年間賞与20,161,510ウォン÷121,680,125ウォン
解雇期間1か月あたりの賃金相当額3,976,535ウォン

月額に解雇期間の月数を掛けます。解雇期間中に賃金が上がった場合は、上がった日から新しい額を使います。

解雇期間中に他の仕事で得た収入

解雇期間中に他の職場で得た収入(중간수입、中間収入)は、労働義務を免れたことで得た利益なので、使用者は控除できます(民法第538条第2項)。大法院は控除に限度を設けています(1991年6月28日判決 90다카25277、2022年8月19日判決 2021다279903)。

  • 休業手当(휴업수당、平均賃金の70%以上、勤労基準法第46条)の範囲の金額からは控除できません。
  • 休業手当を超える金額からのみ控除できます。
  • 中間収入は、控除の対象となる賃金と同じ期間に得たものでなければなりません。

まとめると、使用者は「賃金相当額から中間収入を引いた額」と「休業手当」のうち大きい方を支払います。1か月の賃金相当額が1,000,000ウォン、その月の休業手当が700,000ウォン、他所で得た収入が900,000ウォンなら、使用者は700,000ウォンを支払わなければなりません。

税金、社会保険料、遅延利息

  • 事前控除はできない: 使用者は実際に支払う前に所得税を差し引くことはできず、国民年金・健康保険・雇用保険の保険料も同じです。裁判所は全額の支払いを命じ、税金は実際の支払時に源泉徴収します(大法院1992年5月26日判決 91다38075、2021다279903)。
  • 税金: 救済命令で復職する際に受け取る解雇期間の賃金相当額は、所得税法上の勤労所得です(法制処の法令解釈 10-0075、2010年4月23日)。
  • 遅延利息: 勤労基準法第37条は、退職時の金品(第36条)と、2025年10月23日からは第43条の定期賃金に年20%の遅延利息を定めています。2021年の法制処解釈(법제처-21-0020)は、復職の代わりに支払いを命じた金品は第36条の退職時清算の金品ではないとしました。解雇期間の賃金に20%が適用されるかは定まっていません。一般の法定利率は民法上年5%、商行為による債務は商法上年6%です。裁判所が金銭の支払いを命じる判決をした場合、訴状が送達された翌日から年12%です。

消滅時効

賃金債権は3年間行使しないと時効で消滅します(第49条)。救済申請の後、その行政訴訟で権利を主張することは裁判上の請求にあたり、時効が中断します(大法院 2011다20034)。判決で確定した債権の消滅時効は10年です(民法第165条第1項)。

チェックリスト

  1. 事業場の常時労働者が5人以上か確認します。
  2. 解雇の日から3か月以内に地方労働委員会へ救済を申請します。
  3. 給与明細、労働契約書、就業規則、労働協約、賃上げの記録を保管します。
  4. 給与項目ごとに、賃金か実費補填かを区別します。
  5. 他の仕事で得た収入を月ごとに記録します。
  6. 使用者が履行しない場合は、履行期限が過ぎた時から15日以内に労働委員会に知らせます。
  7. 賃金債権の3年の時効に注意します。

よく目にする韓国語の用語

用語ローマ字表記意味
부당해고budang haego不当解雇。正当な理由のない解雇です。
노동위원회nodong wiwonhoe労働委員会。地方労働委員会が判定し、中央労働委員会が再審します。
구제신청guje sincheong救済申請。解雇の日から3か月以内に行います。
구제명령guje myeongnyeong救済命令。原職復帰や賃金相当額の支払いを命じます。
원직복직wonjik bokjik原職復帰。解雇前の職に戻ることです。
임금 상당액imgeum sangdangaek賃金相当額。解雇期間に働いていれば得た賃金です。
중간수입junggan suip中間収入。解雇期間中に他所で得た収入です。
휴업수당hyueop sudang休業手当。平均賃金の70%以上で、控除の下限になります。
평균임금pyeonggyun imgeum平均賃金。直前3か月の賃金総額をその期間の総日数で割った額です。
이행강제금ihaeng gangjegeum履行強制金。救済命令に従わない使用者に課されます。

根拠

  • 勤労基準法 第2条、第23条、第28条~第33条、第37条、第46条、第49条、第111条、第112条(근로기준법)— https://www.law.go.kr/법령/근로기준법
  • 勤労基準法施行令 第7条・第17条、別表1(근로기준법 시행령)— https://www.law.go.kr/법령/근로기준법시행령
  • 探しやすい生活法令情報「解雇の制限と適用範囲」(찾기쉬운 생활법령정보)— https://easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMainBtr.laf?popMenu=ov&csmSeq=514&ccfNo=1&cciNo=1&cnpClsNo=2
  • 民法 第165条、第397条、第538条(민법)— https://www.law.go.kr/법령/민법
  • 商法 第54条、訴訟促進等に関する特例法 第3条(상법 제54조, 소송촉진 등에 관한 특례법 제3조)— https://www.law.go.kr/법령/상법
  • 大法院判決 81다626(1981年12月22日)、90다카25277(1991年6月28日)、91다38075(1992年5月26日)、93다21736(1993年9月24日)、95다53102(1996年4月23日)(대법원 판결)— https://www.law.go.kr/LSW/precInfoP.do?precSeq=108854
  • 大法院判決 2011다20034(2012年2月9日)、2021다279903(2022年8月19日)、2018다275925(2023年6月1日)(대법원 판결)— https://www.law.go.kr/LSW/precInfoP.do?precSeq=160684
  • 法制処 法令解釈 10-0075(2010年4月23日)(법제처 법령해석)— https://www.law.go.kr/LSW/expcInfoP.do?expcSeq=312859
  • 法制処 法令解釈 법제처-21-0020(2021年4月28日)(법제처 법령해석)— https://opinion.lawmaking.go.kr/nl4li/lsItptEmp/425918

このガイドは2026年10月23日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。