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本案訴訟を先延ばしにすると、仮差押えは取り消されることがあります

債務者の財産を韓国で仮差押えする債権者は、十分な証拠があっても担保を求められることがあり、本案訴訟を遅らせると仮差押えを失うことがあります。

PAPATONY法務・コンプライアンス2026年10月19日更新約5分で読めます

ひと目でわかるポイント

担保
疎明をしても求められることがある(第280条第3項)
提訴命令の期間
裁判所が定め、2週間以上(第287条第2項)
期間内に書類を出さないとき
債務者の申立てにより裁判所は取り消さなければならない(第287条第3項)
提出後の取下げ・却下
書類を提出しなかったものとみなす(第287条第4項)
3年ルール(第288条第1項)
執行後3年間本案の訴えがなければ取消事由
債務者の解放の経路
裁判所が定めた担保の提供(第288条第1項)

このガイドは、韓国の企業の外国人創業者・経営者・財務担当者のうち仮差押え(가압류)で債務者の財産を押さえようとする方と、財産を押さえられた債務者の方を対象としています。原則は、仮差押えの決定を受けても手続きは終わらない、ということです。証拠が十分でも裁判所は担保を求めることがあります。債務者は、債権者に2週間以上の期間内に本案の訴えを提起させる命令を得ることができます。執行後3年間本案の訴えを提起しなければ、仮差押えは取り消されることがあります。

申立書に書く事項と疎明

仮差押えは、金銭債権を後で執行できるように債務者の財産を押さえておく、裁判所の命令です。債務者が実際に支払う義務を負うかどうかは、仮差押えでは決まりません。それは本案の訴え(본안의 소)と呼ばれる別の通常の訴訟で判断します。

民事執行法(민사집행법)は、命令の後に債権者がすべきことと、それをしないと仮差押えが取り消される経路をあわせて定めています。申立てだけをして本案を先延ばしにしている間に取消しの申立てが入るケースは、ここから生じます。

申立書に記載すべき事項は、第279条第1項が定めています。

  • 請求債権の表示。その請求債権が一定の金額でないときは、金銭に換算した金額
  • 第277条の規定により仮差押えの理由となる事実の表示

第279条第2項は、請求債権と仮差押えの理由を疎明(소명)するよう求めています。疎明とは、事実がおそらく確かだと裁判官に思わせる程度の証明です。完全な証明より基準が低いものです。

疎明をしてもしなくても担保が付くことがあります

第280条は、疎明の有無と担保を別の問題として扱っています。

  • 仮差押えの申立てについての裁判は、口頭弁論を経ずにすることができる(第1項)
  • 請求債権や仮差押えの理由を疎明しないときでも、裁判所が定めた担保を提供すれば、仮差押えを命じることができる(第2項)
  • 請求債権と仮差押えの理由を疎明したときでも、裁判所は担保を提供させて仮差押えを命じることができる(第3項)
  • 担保を提供したときは、その担保の提供と担保提供の方法を仮差押命令に記載しなければならない(第4項)

第3項は実務でよく誤解されます。証拠を十分に出したので担保は免除されると期待しがちですが、条文は疎明したときでも担保を提供させることができると定めています。担保は疎明の不足を補う手段です。不当な仮差押えによって債務者が被る損害に対する担保でもあります。

担保をどの方法で出すかは事前に確認します。方法は現金供託(현금공탁)か保証保険証券(보증보험증권)です。担保提供命令(담보제공명령)の履行期間と担保額の算定比率は、民事執行法の本文にはなく、裁判所の実務基準によるものです。実際に受け取った決定書に書かれた期間と金額を基準にしてください。

提訴命令は債務者が先に動く経路です

仮差押えだけをかけて本案訴訟を先延ばしにすると、債務者は提訴命令(제소명령)を申し立てることができます。その仕組みは第287条のとおりです。

項内容
第1項仮差押えを命じた裁判所は、債務者の申立てにより口頭弁論を経ずに、債権者に対し、相当の期間内に本案の訴えを提起してそれを証明する書類を提出するよう、またはすでに提起しているときは訴訟係属の事実を証明する書類(소송계속사실 증명 서류)を提出するよう命じなければならない
第2項第1項の期間は2週間以上と定めなければならない
第3項債権者が期間内に書類を提出しないときは、裁判所は債務者の申立てにより、決定で仮差押えを取り消さなければならない
第4項書類の提出後に本案の訴えが取り下げられ、または却下されたときは、書類を提出しなかったものとみなす
第5項第3項の申立てについての決定に対しては、即時抗告(즉시항고)をすることができる

第3項の文言は「取り消さなければならない」です。裁判所に裁量はありません。期間は2週間以上なので、実務上は短ければ2週間しか与えられません。その間に訴状を提出し、受付証明まで出さなければならないため、提訴命令を受けた時点からは余裕がほとんどありません。仮差押えを申し立てる段階で本案の訴状の草案を一緒に準備しておくほうが安全なのは、このためです。

第4項も落とし穴です。いったん訴えを提起して書類を出し、後で取り下げると、最初から出さなかったものとみなされます。交渉のために訴えの取下げを考えるときは、仮差押えも一緒に取り消されうることを計算に入れてください。

債務者が使える取消事由は3つです

第288条第1項は、仮差押えが認可された後でも債務者が取消しを申し立てることができる事由を、3つ定めています。

  • 仮差押えの理由が消滅し、またはその他の事情が変わったとき
  • 裁判所が定めた担保を提供したとき
  • 仮差押えが執行された(財産に対して実際に行われた)後、3年間本案の訴えを提起しなかったとき

3つ目の事由は、利害関係人(이해관계인)も申し立てることができます。申立てについての裁判は仮差押えを命じた裁判所が行いますが、本案がすでに係属しているときは本案の裁判所が行います(第288条第2項)。

2つ目の事由が債務者側の解放の経路です。裁判所が定めた担保を提供すれば、債務者は仮差押えから抜け出せます。不動産や口座が押さえられて事業が止まっている状況では、債務者は担保提供の費用と営業上の損失を比べて判断することになります。

あわせて読む:支払命令への異議と印紙の補正命令、印鑑のない契約の効力と証明。

チェックリスト

  • 請求債権を金銭に換算して表示します。
  • 仮差押えの理由となる事実を具体的に書きます。
  • 請求債権と仮差押えの理由を疎明する資料を添付します。
  • 疎明をしても担保が付くことがあると考えて、資金を準備します。
  • 担保提供の方法(現金供託・保証保険証券)を事前に確認します。
  • 仮差押命令に担保の提供とその方法が記載されているか確認します。
  • 決定書を受け取ったら、すぐに執行手続きを進めます。
  • 本案の訴状の草案を、仮差押えの申立てと同時に準備します。
  • 提訴命令を受けたら、期間の初日から訴状提出の日程を組みます。
  • 訴えの提起後、訴訟係属の事実を証明する書類の発行を受けて提出します。
  • 交渉で訴えを取り下げるときは、仮差押えも一緒に取り消されうることを織り込みます。
  • 執行日から3年が経つ日をカレンダーに記入します。
  • 債務者が事情の変更を主張する場合に備えて、債権が存続している根拠を更新しておきます。
  • 取消決定に対する即時抗告の期間を逃さないようにします。
  • 紛争が終わったら、担保の取消しと回収の手続きを別途進めます。

よく目にする韓国語の用語

用語ローマ字表記意味
가압류gaamnyu仮差押え。金銭債権を後で執行できるように、債務者の財産を押さえておく裁判所の命令です。
민사집행법Minsa Jiphaengbeop民事執行法。仮差押えの手続きを定めた法律で、このガイドで引用した第277条・第279条・第280条・第287条・第288条はこの法律の条文です。
소명somyeong疎明。事実がおそらく確かだと裁判官に思わせる程度の証明で、完全な証明より基準が低いものです。
담보제공명령dambo jegong myeongnyeong担保提供命令。債権者に担保を出すよう命じる裁判所の命令で、実際に受け取った決定書に書かれた期間と金額に従います。
제소명령jeso myeongnyeong提訴命令。債務者の申立てにより、債権者に2週間以上の期間内に本案の訴えを提起するよう命じる命令です。
본안의 소bonanui so本案の訴え。金銭債権そのものを判断する通常の訴訟です。
소송계속사실 증명 서류sosong gyesok sasil jeungmyeong seoryu訴訟係属の事実を証明する書類。訴訟が裁判所に係属中であることを証明し、提訴命令への対応として提出します。
즉시항고jeuksi hanggo即時抗告。裁判所の決定に対する不服申立ての方法で、定められた期間内に行います。
현금공탁hyeongeum gongtak現金供託。担保として現金を裁判所に預ける方法です。
보증보험증권bojeung boheom jeunggwon保証保険証券。現金の代わりに担保として提出する保証保険の証書です。

根拠

  • 民事執行法第277条、第279条第1項・第2項(민사집행법 제277조, 제279조 제1항·제2항)
  • 民事執行法第280条第1項~第4項(민사집행법 제280조 제1항~제4항)
  • 民事執行法第287条第1項~第5項(민사집행법 제287조 제1항~제5항)
  • 民事執行法第288条第1項・第2項(민사집행법 제288조 제1항·제2항)

このガイドは2026年10月19日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

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