取締役の報酬には定款か株主総会の決議が必要です, 韓国商法第388条
取締役の報酬は、商法第388条により定款で額を定めるか株主総会の決議がなければ支払えません。韓国の会社の名目上の取締役と過大な報酬も整理します。
ひと目でわかるポイント
- 根拠条文
- 商法第388条
- 必要な根拠
- 定款で定めた額、または株主総会の決議
- どちらもない場合
- 支払いの根拠がなく、返還の問題になる
- 名目上の取締役
- 原則として報酬請求権を認める
- 過大な報酬
- 合理的な範囲を超えた部分は会社が返還を請求できる
- 監査役の報酬
- 商法第415条に従い別に定める
このガイドは、韓国の会社の創業者、取締役、財務担当者向けです。外国人の取締役がいる外国人投資企業も同じです。原則はこうです。定款で金額を定めているか、株主総会の決議がある場合にだけ、取締役に報酬を支払えます。取締役に月給を払っているという事実だけでは、報酬請求権は生じません。
商法第388条の内容
商法(상법)第388条は、取締役(이사)の報酬について、定款(정관)にその額を定めていないときは株主総会(주주총회)の決議で定めると規定しています。二つのうちどちらかの根拠が必要だという意味です。どちらもなければ、支払いそのものに根拠がありません。
条文は1行ですが、実務では三つの結果を生みます。
一つ目:根拠がなければ返還の問題になる
定款に額を定めておらず、株主総会の決議もない状態で支払われた報酬は、根拠のない支払いになります。代表理事(대표이사、通常のCEOに当たる)が自分で金額を決めて受け取っていた場合、それ自体が紛争の出発点になります。取締役が複数いて、持分構造が分散している会社では特に大きな問題になります。
実務では、定款には上限だけを定め、具体的な金額は取締役会(이사회)や代表理事に委任する方法がよく使われます。ただし、定款に上限を書いておくと、その上限を超えるたびに株主総会を開き直さなければなりません。そのため、上限は最初から余裕をもって設定しておくほうが運営しやすくなります。
二つ目:名目上の取締役にも報酬請求権が認められる
大法院(대법원、韓国の最高裁判所)は、株主総会で選任された取締役・監査役(감사)が、会社との明示的または黙示的な約定に基づいて業務を他の取締役などに包括的に委任し、実質的な業務を行っていない場合でも、原則として報酬請求権(보수청구권)が認められると判示しました。取締役・監査役として、商法第399条・第401条・第414条などに定める法的責任を負うからです。
したがって、働いていないという理由だけで、資格や報酬請求権を否定することは困難です。例外は特別な事情がある場合です。選任決議や報酬決議が無効である場合や、消極的な職務遂行が選任当時に予定していた職務内容と異なり、背任的行為(배임적 행위)に当たる場合などです。
家族を登記役員(등기임원)にして給与を支払ってきた会社が、後からその支払いを問題にしにくいのはこのためです。逆に言えば、登記役員にした時点で、報酬の支払義務とともに、その人の取締役としての法的責任も生じます。
三つ目:過大な報酬は返還を請求できる
同じ判示は制限も設けています。取締役・監査役の報酬は職務遂行の対価として支払われるものなので、会社に提供する反対給付と報酬との間に合理的な比例関係が保たれていなければなりません。特別な事情があれば、報酬請求権の一部または全部の行使が制限され、会社は合理的と認められる範囲を超えて支払った報酬の返還を求めることができます。報酬が合理的な水準を超えて著しく均衡を失うほど過大な場合や、報酬の支払いという形式で会社の資金を個人に渡すための手段としてのみ取締役・監査役を選任した場合などがその例です。
| 区分 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 根拠 | 定款または株主総会の決議 | どちらもなければ支払いの根拠がない |
| 名目上の取締役 | 報酬請求権を認める | 選任・報酬決議の無効、背任的行為などの特別な事情 |
| 金額 | 職務と合理的な比例関係 | 著しく過大なら超過分の返還を請求できる |
定款の上限か、株主総会の決議か
二つの方法は運営の負担が異なります。定款で額を直接定めると、金額を変えるたびに定款変更、つまり株主総会の特別決議(특별결의)が必要です。反対に、定款に何の条項も置かなければ、毎年株主総会の普通決議(보통결의)で報酬を定めなければなりません。
そのため、多くの会社は中間を選びます。定款には取締役全員の報酬総額の上限だけを置き、その範囲内で個別の金額は取締役会や代表理事が決めるように委任する構造です。この方法なら、人事の変動があっても、上限の範囲内であれば株主総会を開き直す必要はありません。
上限を定めるときは、賞与や成果給を含むかどうかを文言で明確にしておく必要があります。含むかどうかが曖昧だと、成果給を支払った年に上限を超えたかどうかで争いが生じます。退職金(퇴직금)は報酬とは別の規定が必要なので、最初から分けておくと整理しやすくなります。
チェックリスト
- 定款に取締役の報酬に関する条項があるか確認します。
- 定款で額を定めたのか、上限だけを定めたのかを区別します。
- 上限だけを定めた場合は、その上限を超えていないか毎年確認します。
- 定款に定めがなければ、株主総会の決議で定めます。
- 決議の対象に、金額・支払時期・支払方法を含めます。
- 登記役員と非登記役員の扱いを分けます。
- 非登記役員は、労働者性(근로자성)の判断が別途必要です。
- 家族を登記役員にするときは、取締役としての責任も同時に生じることを前提にします。
- 職務内容と報酬水準の比例関係を説明できる資料を残します。
- 同業種・同規模の会社の報酬水準を参考資料として保管します。
- 賞与・成果給を報酬の上限に含めるかを、決議の文言で明確にします。
- 退職金は別の規定が必要なので、報酬の決議と分けます。
- 株主総会の招集・決議手続きに瑕疵がないか点検します。
- 持分構造が分散している会社は、決議要件を事前に確認します。
- 毎年の定時株主総会で承認手続きを繰り返すか、定款改正で整理するかを決めます。
- 取締役会に委任する構造を使う場合は、委任の根拠を定款に明記します。
- 個別の支給額を決めた取締役会の議事録を保管します。
- 報酬総額が定款の上限内に収まっているか、年末に検算します。
- 監査役の報酬は、商法第415条に従い別に定めます。
- 非常勤役員の報酬にも、同じ根拠が必要です。
- 報酬決議の内容と、賃金台帳・源泉徴収の資料を一致させます。
よく目にする韓国語の用語
| 用語 | ローマ字表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 상법 | sangbeop | 商法。会社に関する基本法で、取締役の報酬の根拠もここにあります。 |
| 정관 | jeonggwan | 定款。会社の基本的なルールを定めた文書です。 |
| 주주총회 | jujuchonghoe | 株主総会。 |
| 보통결의 | botong gyeorui | 普通決議。株主総会の一般的な決議方法です。 |
| 특별결의 | teukbyeol gyeorui | 特別決議。要件が厳しい株主総会の決議で、定款変更に必要です。 |
| 이사회 | isahoe | 取締役会。 |
| 대표이사 | daepyo isa | 代表理事。会社を代表する取締役で、通常はCEOに当たります。 |
| 등기임원 | deunggi imwon | 登記役員。法人登記簿に登記された取締役・監査役です。 |
| 보수청구권 | bosu cheonggugwon | 報酬請求権。会社に報酬の支払いを求める権利です。 |
| 감사 | gamsa | 監査役。報酬は商法第415条に従い別に定めます。 |
根拠
- 商法 第388条(상법 제388조)
- 商法 第399条・第401条・第414条(상법 제399조·제401조·제414조)
- 商法 第415条(상법 제415조)
- 名目上の取締役・監査役の報酬請求権に関する大法院判決(대법원 판결, 명목상 이사·감사의 보수청구권)
このガイドは2026年10月19日時点の一般的なルールを説明したものです。法律・税務の助言ではありません。法令や書式は変わることがあるため、手続きの前に公式サイトを確認するか専門家に相談してください。

